ついに最終戦を迎えた全日本ロードレース選手権。2016年も、ここまで4戦5レース中4勝を挙げた中須賀克行の強さが際立つ結果となっている。2レース制で行われる今回のMFJグランプリも、大きな動きがなければレース1で中須賀の5年連続7度目のタイトルが決まることになるだろう。昨年は、予選で2分05秒192というコースレコードを樹立した中須賀だけに、今回は、2分04秒台に入るのでは? という期待もあったが、前週に行われたスーパーフォーミュラの影響もあり、思うようにタイムを出せないでいた。中須賀がやや停滞している中、木曜日は、津田拓也、そして今回スポット参戦のレオン・ハスラムが金曜日のトップタイムをマーク。中須賀にとっては、おもしろいはずがないが、公式予選に向けて自信はあった。「レオンが来て、簡単にトップに立てると思われたくはないですし、全日本のレベルが高いところを証明したい。そのためにも予選から前に行かなければならないし、その自信はあります」と金曜日に語っていた。その気合い通り、Q1では、計測2周目に2分05秒台に突入する。その後、うまく目標を見つけた津田が中須賀を上回りレース2のポールポジションを獲得する結果となったが、中須賀の調子は悪くはなかった。続くQ2で2分05秒535をマークしレース1のポールポジションを獲得した。「予選では、意地を見せることができたと思います。プレッシャーはありますが、できればレース1で勝ってタイトルを決めたいですね。もちろんレース2も勝ってシーズンを締めくくりたいと思っています」と中須賀は、自信のコメントを残した。第8戦岡山国際を終えた後、MotoGP™日本グランプリに参戦、MotoGP™マシンのテストもあり、初日は、乗り換えに苦労していた部分もあったが、しっかり修正してきた。ダブルウインに向けて視界は良好と言えるだろう。 Team GREENからスポット参戦のハスラムは、Q2で2分05秒689をマークし、2番手につける速さを見せた。今シーズンは、ブリティッシュスーパーバイク(BSB)でランキング2位。その最終戦が2週間前、先週はカタールで行われたスーパーバイク世界選手権(SBK)最終戦に代役参戦し、日本には水曜日に入り、木曜から走行を開始するというハードスケジュールながら、藤原克昭コーチのアドバイスもあり、初日からいいフィーリングで乗れていたという。また、マシンは、今回残念ながら欠場となってしまった柳川明が試そうとしていたセッティングからスタート。柳川の功労もあり、金曜日にはトップタイム、そして予選で2分05秒台の好タイムをマークできたと言う。アベレージもいいだけに、レースをかき回す存在になりそうだ。 今シーズン、イクイップメントを変更したものの、なかなかマシンがまとまらず低迷していた高橋巧が、今回は自己ベストを更新する走りで両レースとも予選3番手につけた。「ようやく普通に走れるようになってきました。2分05秒台に入ったのは、自分でもビックリしました。仕掛けられそうなポイントもありますし、両レースとも全力で走るだけです」と今季一番のレースを見せてくれそうだ。 Team GREENの渡辺一樹は、レオンが注目される中、虎視眈々とマシンセットを進めて来た。「Q1では試しておきたいことがあったので、セットを進めながら2分06秒台で走れていますし、Q2ではハード目のタイヤを使い、ほぼ同じタイムでしたので、アベレージではいい状態にあると思います」と自信をのぞかせる。 レース1は、昨年の10周より短い8周という短期決戦で行われる。混戦になればペースが下がるかもしれないが、昨年は、2分06秒台のハイペースとなった。今年は、それを上回ることになる可能性は高いだろう。中須賀、津田、レオン、渡辺、高橋巧、野左根航汰と言ったところがトップ争いを繰り広げるだろう。20周で争われるレース2は、ガチンコとなるレース1とは違う展開になるかもしれないが、前述の7人は確実に前に来るはずだ。 各ライダー、各チーム、様々な思いが錯綜する2016年シーズン最終戦。今年も、またチャンピオンが鈴鹿で誕生する。