この日、最後のレースとなったST600クラスは、波乱のオープニングとなった。スタート直後の2コーナーで伊藤勇樹が転倒。これに岡村光矩と篠崎佐助が巻き込まれるアクシデントが発生! マシンがコース上に残ってしまったため赤旗が提示され、レースは仕切り直しとなる。 2度目のスタートが切られ、ポールポジションのチャランポン・ポラマイがホールショットを奪い、小林龍太、岩崎哲朗、横江竜司、國川浩道、津田一磨、日浦大治朗と続いていく。チャランポンは、オープニングラップから後続を引き離しにかかり、頭一つ抜け出して行く。小林もペースを上げると、チャランポンに追い付き、横江、岩崎、日浦、石塚健と続く。とにかく全開で走ったという小林は、9周目のV字コーナーでチャランポンのインを突きトップに浮上。レースをリードして行く。11周目には、横江もチャランポンを5コーナーでかわし2番手に浮上。さらに岩崎もチャランポンをかわして3番手に上がってくる。チャランポンは、昨年の腕のケガが、まだ完全に癒えておらずブレーキングで問題を抱えていたと言う。 残り4周を切った15周目になると、それまで健闘していた横江の肩が悲鳴を上げた。前週に行われた事前テスト初日に1コーナーで転倒し、右肩を脱臼していたのだ。その影響がレース終盤に出てしまった横江は、S字で岩崎に、ヘアピンでチャランポンに、90度コーナーで日浦と次々にかわされポジションを落としてしまう。 一時、ポジションを落としていたチャランポンは、最終ラップに2番手に上がるとS字コーナー進入で小林をかわして行く。小林も続くV字コーナーで抜き返しトップをキープ。勝負は90度コーナーに持ち込まれる。チャランポンは、インからレイトブレーキングを見せ前に出るが、小林は、冷静にクロスラインを取り再び前に出ると、そのままトップでゴール。うれしい全日本初優勝を飾った。チャランポンは2位、岩崎が3位となった。4位には、石塚が入り自己最高位。レース終盤にペースを上げた國川浩道が5位に食い込み、横江が何とか6位でゴールしている。健闘した日浦は、ラストラップにコースアウトがあり7位でフィニッシュ。以下、近藤湧也、中山真太郎、津田、中本郡と続いた。 アクシデントで転倒した岡村は、マシンにダメージがあったが、チームが必死に修復し、スタートから1分が経過したところでピットアウト。最後尾から追い上げて12位でゴール。貴重な9ポイントを獲得し暫定ランキング2番手にとどまった。伊藤は25位。篠崎は、再スタートできずに終わっている。