ツインリンクもてぎ2&4レースから2018年シーズン後半戦に突入した全日本ロードレース選手権。レースウイーク初日となった8月17日(金)から、それまでの猛暑日がうそのように気温、湿度共に下がり、さわやかな気候となった。
青空の広がったツインリンクもてぎでセッションをリードしたのは、YAMAHA FACTORY RACINGTEAMの野左根航汰だった。初日の1本目、2本目、そして公式予選でもQ1、Q2と全セッションでトップタイムをマーク。今シーズン初ポールポジションを獲得した。野左根は、昨年もツインリンクもてぎ2&4レースでポールポジションを獲得。これがJSB1000クラスで初ポールポジションだった。さらにツインリンクもてぎで開催された2レースで共に優勝を果たしており結果的な相性は、いい方だ。しかし、昨年優勝した2レースは、両レースとも中須賀克行がトップを走りながら転倒しており"タナボタ"という感は否めなかった。優勝は優勝だが、野左根本人も、今年こそ中須賀と堂々と勝負し勝つことが目標だった。
しかし、今シーズン前半戦では、開幕戦のレース1での転倒から始まり、表彰台には上がるものの、トップ争いから引き離されてのレースが続いていた。鈴鹿8耐は、ヤマハのスーパーサブ的存在として控えにまわり出番はなかったが、MotoGP™マシンの開発テストは続いていた。特に、中須賀が鈴鹿8耐で負傷してからは、その仕事を一手に担っていた。今回のツインリンクもてぎ2&4レースは、事前テストがなかったこともあり、久しぶりに自分のマシンに乗った感じだったと言う。初日、2日目と流れは完璧に近いだけにレースも、その勢いで引っ張って行きたいところだろう。
鈴鹿8耐の土曜日に転倒し右肩を痛め、決勝をキャンセルした中須賀。あれから3週間が経ち、かなり回復してきているが、まだ、その影響はかなりあると言う。「ストップ・アンド・ゴーのセクションは、厳しいと思っていましたが思ったよりもタイムも出せました。ただ、23周と長いので、どこまで走れるかは、分からない部分もあります。大事なのはチャンピオンシップなので、ノーポイントだけは避けないといけないですね。肩は、以前にも痛めたことがあるので、そのときの経験を生かして、うまく走りたいですね。実際、無理が効かない部分がありますが、ケガの功名じゃないですけれど、速く走ることができている部分もあるので、今後にプラスになると思います」とポジティブに考えている。
そんなヤマハ勢に一矢を報いたいHRCの高橋巧は、初日に転倒があったものの、徐々にマシンはよくなってきていると言う。コーナーの立ち上がりからの加速は、目を見張るものがあるだけに、今シーズン初優勝を挙げたいところだ。
ヨシムラの津田拓也も今シーズンでは、一番いい仕上がりだと言えそうだ。「予選では、1分48秒台に入れたかったのですが他のライダーより伸び幅が少なかったですね。アベレージは悪くないので、今回こそトップ争いに加わって、最後に勝負できるポジションにいたいですね」と表情も明るかった。
カワサキのエース渡辺一馬は、ここまで今ひとつ攻められない状態だが、決勝に向けて課題は明確になってきていると言う。「8耐明けだからか、4輪の影響なのかフィーリングが今ひとつでしたが、チームと話し合いセットを変更する予定です。決勝朝のウォームアップ走行で確認していい方向に行けば1分49秒台で走ることができるはずです」とセットが決まればトップ争いに加わって来そうだ。
フロントロウの3台に加え、津田と渡辺一馬がトップグループを形成しそうだ。手負いの中須賀が、どこまで踏ん張ることができるかによって、レース展開が変わってくるだろう。キット車両ながら予選5番手に食い込んできた秋吉耕佑、調子を上げてきている渡辺一樹のポジショニングにも注目したいところ。
決勝レースは、23周と長丁場で争われるだけにタイヤマネジメントが重要なファクターとなるはずだ。野左根がレースをリードするのか!? 他のライダーがかき回すのか!? 果たして、どんな結末が待っているのだろうか…。 |