ここ数年、開幕戦の舞台となっていたツインリンクもてぎが、今年はシリーズ第3戦として5月の開催となった。天気には恵まれたが、初日は路面コンディションがよくなく、転倒車が続出。赤旗中断も少なくなかった。そんな中、金曜日にトップタイムをマークしたのは、ヨシムラの津田拓也だった。今シーズンは、開幕戦鈴鹿、第2戦オートポリスと序盤は、トップ争いに絡むものの中盤から終盤にかけて遅れてしまっていた。課題は明確なだけに、今回は、事前テストから取り組み方を変え、その成果が初日から出ていた。 土曜日は、初夏を思わせる暑さとなった。気温は、27度とまだ30度オーバーにはならなかったが、日差しは強く、路面温度は最高で50度まで上がっていた。このタイヤに厳しいコンディションの中、JSB1000クラスの公式予選はノックアウト方式で行われた。まず41台が出走したQ1では、高橋巧が1分49秒488をマークしてトップタイム。津田、中須賀、渡辺と1分49秒台で続き、柳川明、山口辰也、加賀山就臣が1分50秒台で続いた。8番手には、今野由寛が食い込み、今シーズン初めてQ2に進出。9番手に野左根航汰、10番手に酒井大作という10人がトップ10チャレンジにコマを進めた。 前戦のオートポリスで今季初優勝を飾り、事前テストから好調をキープしている高橋は、金曜日こそ、いい流れではなかったと言っていたが、予選では常に単独でタイムを出しておりノレている状態だ。Q2が始まると、すぐにコースインせず、やや感覚を空けてピットアウトする。この高橋を中須賀はマーク。高橋が出て行くのを見て、中須賀もピットアウトする。タイムアタックに入る2台のマシンは、区間ベストを更新しながらコーナーをクリア。コントロールラインを通過すると高橋が1分48秒803をマーク。秋吉耕佑が2010年に記録していた1分49秒019というコースレコードを更新してポールポジションを獲得した。「最高峰クラスでは2度目のポールポジションですけれど、1回目は、3回目のセッションが中止になって結果的になっただけなので、今回が初めてのようなものです。前回は、中須賀選手がケガをしていたのも勝てた要因になっているので、今回は、しっかり戦って勝ちたいです」と高橋。 中須賀も1分48秒882と、それまでのコースレコードを上回るチムをマーク。第2戦オートポリスのときに比べれば体調もよくなっている。「身体の状態は、80〜90%ぐらいですね。前回は、高橋選手に楽なレースをさせてしまったので、今回は、バトルをしてファンの皆さんによろこんでもらえるレースにしたいですね」と中須賀。 2戦を終えて、優勝1回、2位1回とポイント上では、全く並んでいるだけに今回、前でゴールした方がイニシアチブを握ることになる。シーズンの流れを占う上でも負けられない一戦になるのが間違いない。この2人が今回のレースでもカギを握る存在となっている。 津田、そしてTeam GREENの渡辺、柳川もトップグループに絡みたいところだ。津田は「今回こそ最後までトップ争いに加わり、優勝を狙えるところにいたい」とコメント。マシンセットもうまく進み手応えを感じていると言う。渡辺は、区間ベストを足していけばポールに近いタイムが出ているが1周をうまくまとめられないでいると言う。決勝でどんな走りを見せるか注目したいところだ。そして柳川は、まだシーズンオフに負ったケガの状態が痛むと言うが、「気合いと根性で19周を乗り切る。もちろん勝負するよ!」と自分自身に気合いを入れていた。 6番手の山口も自己ベストを更新。市販キット車ながら1分49秒台は、驚異的なタイムだと言える。一方、加賀山は、まだ本来の実力を発揮できておらず、苦戦が続いている。 高橋は、好調だがスタートからレース序盤のペースの作り方の課題は残っている。スタートで前に出てレースを引っ張るのが理想だろうが、それは中須賀も同じこと。スタートダッシュでは、中須賀に分があるだけに、レース序盤の駆け引きに注目したい。ペースによっては、トップ6が混戦になる可能性もあるだろう。ペースが速ければ高橋と中須賀が抜け出すかもしれない。19周後のチェッカーフラッグを真っ先に受けるライダーは如何に?