
|
ヨーロッパ、特にスペインやイギリスで人気のクロスカントリーモータースポーツのひとつが、トライアルです。速さを競うのではなく、技の正確性や人間とマシンの信頼性を問うというところに、ほかのカテゴリーとは一線を画す魅力を秘めています。 |
|

|
トライアル競技は、専用のオートバイを駆り、コース途中に設けられた採点区間(セクション)で、いかに減点されることなく走り抜けられるかを競い合います。早くゴールする必要はありませんが、決められた時間を越えてしまうと、所定の減点を課せられることになります。減点が最も少ない、つまりはミスの最も少ないライダーが優勝となります。
減点は、1回の足つきが1点、2回の足つきで2点、3回以上の足つきが3点です。マシンから降りてしまったり、セクションの外へ出てしまった場合、マシンが後退した場合、あるいは足つき中にエンジンが停止したりすると、失敗とみなされ5点減点となります。また、セクションを1度の減点もなく走りきることを「クリーン」といいます。
ひとつのセクションには、ライダーの技量を問う障害物が設けられます。障害物には岩山や沢など自然の地形を活かしたものや、スタジアムなどの中に人工的に作り上げたものなどがあります。
|
|
|

|
セクションを走り採点を受けることを“トライする”といいます。セクションに到着したライダーは、セクション攻略法をじっくり下見して、自分の走りのイメージを作りあげます。マシンが走っていない下見シーンも、ライダーがどんな走りをするかを想像できる大事な観戦ポイントとなるわけです。
トライを終えたライダーは、各自が持っている採点カードに、セクションでの減点を記入(あるいはパンチング)してもらい、次のセクションに進みます。
ライダーには所定の持ち時間が与えられており、原則その持ち時間内にゴールしなければなりません。1つのセクションでのトライ時間は、60〜80秒と定められています。規定時間を過ぎると減点となります。
日本人トライアルライダーは、世界でもトップクラスの実力を持つ者も多く、セクションの難易度だけでなくライダーの技術にも注目するとよいでしょう。
|
|

|
全日本選手権が始まったのは、国内メーカーがトライアルマシンの開発に力を入れ始めた1973年でした。もともとトライアルは、イギリスを発祥の地としていますが、世界選手権格式の大会が始まったのは1975年から。つまり全日本選手権トライアルは、世界選手権トライアルよりも長い歴史をもっているということになります。
現在の全日本選手権は、国際A級と国際B級の2クラスのライダーによって争われています。また、国際A級の中でも特に世界選手権に通じるクラスとして、国際A級スーパークラスが用意されているので、ひとつのセクションには3つの異なったラインが用意されていることになります。各々のラインはゲートマーカーで指示されているので、観戦にあたっては、ゲートマーカーの位置の確認をすると、より興味深く観戦できることでしょう。
|
|